帰郷
ほんのすこしばかり、地元に帰ることにしました
今はゴトゴト電車に揺られて、車窓から夏の夕方の空色と藤色と雄黄のまじったような空を眺めている
景色を眺めるのに飽いたら、ページを開いたままひっくり返して膝の上においている漁港の肉子ちゃんを読んだりしている
こんなにも美しい夕方
両親は仕事で実家には誰もいないので、友人の家に一泊する
今夜はその友人も含め高校の同級生と会う
友人とは年に数回会っているけれど、他の人は卒業以来何年ぶりかというところ
すこし落ち着かない気持ちになる
10代のわたしが制服を着て過ごした街もすこしずつ変わって、帰るたびにあの頃のままのものは減っている気がする
あの頃ままの要素を多分に残しているであろう高校には、卒業して以来恩師が異動になったこともあって一度も行っていない
街が変わったのと同じように、わたしもあの頃からはいろいろあったし、年もとった、忘れてしまったこともたくさんある
あの頃の自分に叱られてしまいそうだ
もう少し前向きで、もう少し希望をもったりなどしていて、なんでもできると思っていたあの頃の自分に、戻りたいとは思わないけれど、これはしておいたほうがいいよ、これはやめといたほうがいいよ、くらいの言葉はかけたいな