不意
今朝夢に、お互い同じように思ってたけど、うまく行かなかった人が出てきた
あれから一度も会っていないし、もう会うこともないのに
その人は夢の中でも、やらなくちゃいけないことがあるからやっぱり、と言っていて、当時のわたしの心にぐっさり刺さった刃物みたいなものの跡がいかに深かったのか、思い起こされた
そしてやっぱり、そのほうが彼らしいし、そうであってよかったと思った
そのせいでうまくいかなかったのに、むしろここだけは夢の世界なのに
小さい頃から目指してきた道でずっともがいてきた人で
大学でもその勉強をして、ステップを踏んである一定の立場とチャンスを掴んで、すごくすごく夢に近づいたけれど、なかなかすんなりとうまくはいかず
葛藤と不安と自意識とで暗いところをさまよってるような辛い時期に、気分転換というか、何か別の場所でとりあえず少し行動していようという時期の彼と出会った
このことはもちろん親しくなってから聞いた
出会ってから親しくなるまでの間、しんどい一面とどういう風に向き合っていたのかはわからないけれど、普段の彼は静かで温和で穏やかな人だった
たぶん、人見知りとかそういうのなしにしても、俯瞰的に相対的にものを見ている人だったから、考えたことや感じたことは一度精査されて、必要最低限のことをアウトプットしているような感じで、外から見るととても穏やかで、ただ、内側にいろんなものを貯めてあったのかもしれない
直情的なわたしとは大違いで、とても気になった
直情的なくせに、あきらめて何もしてこなかったわたしとは大違いで、まぶしくきれいに見えた
少なくとも親しくなってからわたしの目を通して見る彼は、楽しげに笑ったりもしていたし、好きなもの話しは明るく楽しそうにしてくれたし、そのほかのいろんな表情をみるようになった
けど、いつもその場にいるようでいないような、半透明みたいな感じで、絶対に誰にも見せないところを持ってるようでもあった
自意識の塊みたいな
それこそが彼の核のような気もした
わたしはどうしてもそれを開けて見てみたかった
いちばんやっちゃいけないことなのに
親しくなってきた頃に、共通の時間を過ごしてきた場所から彼が離れて、会う時間が減った
理由がなくちゃ会えない気がしてこわかった
こわくて、なんとかしたくて、いろいろ言って振り回した
彼は表面的にはいつもみたいに穏やかな雰囲気で受けとめてくれて、距離は確かに縮まっていって、あらゆる感情を投げつけた
彼がどんな気持ちかはわかっていたつもりだったし、それすらもこじ開けて暴いたりしたけど、とめられなかった
ただ、もうこの関係がどうにもならないってことはとてもよく、わかっていた
こんなに好きなのに、わたしのことを好きだと言ったくせに、好きな彼が、彼であるせいでどうにもらないのが、ほんとうにつらかった
今は、謝りたいことがたくさんある
わたしもわたしのいちばんほしいものは与えてもらえなくて悲しくてさみしかったけど、彼もわたしに散々振り回されて辛かったろう、ほとほと嫌になったろう
わたしが無茶苦茶言って苦しめてる理由を、彼はよくわかっていたと思う
だから、謝りたいなあと思う
でも、もう絶対に会わないと思う
でも、絶対に幸せになってほしいと思う
絶対に絶対に、しあわせになってて
少なくとも、今日も明日もどこかで元気にしててほしい