ハートマークを押すよりも
仕事中、早番の人たちがぼちぼち退勤しはじめる17時過ぎ
中番なわたしはまだあと3時間か〜なんて思いながら、バックヤードでこの時期大量に抱える羽目になる在庫のチェックやら、発注やら返品やらしていたとこで
18時前、さっきお先にお疲れさま〜とわたしに声をかけて帰って行ったはずの上司が戻ってきて、バックヤードのドアを半分開けて何故かニマニマしながら「おお〜い！」とわたしと遅番の先輩と上司に声をかけてきた
「あれ、どうしたんですか、忘れ物？」と、先輩が聞くと「違うんだよ、ちょっとみんなこっち来てみ〜」とニマニマ顔のまま手招きをしてきたから、頭上に？を浮かべたまま3人でぞろぞろバックヤードを出てついて行く
導かれた先は従業員用のエレベーターホールで、上司は東側の大きな窓を指差して「見て見て！」というので指差す方向を見ると、くっきり大きくきれいな虹がかかっていて、わたしたち3人はわあーっと歓声をあげました
「虹だよ虹！いやーなかなかの大きさだよねえ！見せたくてさ」と上司は笑っていた
そのまま満足げな顔でエレベーターに乗り込んで上司は帰っていき、わたしたちも仕事に戻った
パソコンで発注をかけながら、わたしはその上司のことを、誰かに虹を見せたがるような人だと思ってなかったなあ、なんてぼんやり考えて、わたしもそういうの持っていたいなあと思った
